美味しくて環境にもいい!プランクBBQ用杉板「ミヤマウッドプランク」誕生秘話
近年、アメリカでブレイク中の「プランクBBQ」って知っていますか?プランクとは「板」という意味。濡らした板の上で、肉や魚などをアルミホイルで包んで焼くと、“蒸し焼き”と“燻製”が同時にできるという、新感覚のBBQスタイルなんです。なかでも、今回ご紹介する「ミヤマウッドプランク」は、他の杉板とは一味違うぞ!と、多くのキャンパーからの支持を集めています。なぜミヤマウッドプランクのプランクBBQは美味しいのか?その誕生秘話に迫りたいと思います!
幻のブランド板“美山杉板”との出会い
岐阜県山県市(やまがたし)は、岐阜市の北側に位置する自然豊かなエリアです。特に山県市北部の「美山エリア」は、日本屈指の清流・神崎川を有し、名古屋からも車で1時間半の好立地。私たちが初めてこのエリアを訪れたときは、美しい川のほとりで商品撮影をすることが目的でした。そのとき、偶然その地で聞きつけたのが、幻のブランド板「美山杉板」の存在でした。
▲清流神崎川。この地で美山杉板との運命的な出会いがあった
当時私たちはプランクBBQ用の杉板を探していました。もちろん、ただ普通の杉板を使うのではなく、プランクBBQ用の板として“徹底的に優れたもの”にこだわっていました。早速、私たちは地元の製材屋さんにお話を伺い、美山杉板の調査を進めたのです。
美味しさの秘訣は天日干し乾燥だ!
美山杉板の特徴は、まずなんといっても「天日干し乾燥」です。通常の杉板は、効率化のために機械乾燥が行われており、数日〜数十日で乾燥が完了します。しかし天日干し乾燥は、なんと3ヶ月ほどかけてじっくり乾燥をさせるんです。しかも1枚1枚隙間を開けて立てて並べるので、非常に手間もかかるし、広い場所も必要となってきます。このような乾燥方法を取ることで、反り曲がりが少なく、色艶・香り・粘りにおいても優秀な杉板が出来上がるんです。
▲天日干しの風景。手間暇かけて最高の杉板が完成する
これをプランクBBQの板として考えたとき、非常に多くのメリットがあることがわかりました。長い時間天日干しで何度も雨を吸っては乾燥を繰り返すことで、板内部の灰汁(あく)が抜けて、杉の木本来の香りよく雑味のない風味がつくことがわかったのです。機械乾燥の杉板は、料理の味にえぐみを感じることがありますが、美山杉ではそれは全く感じません。しかも、プランクBBQの最大の特徴である燻製効果においても、機械乾燥の板は苦味が強かったのに対し、美山杉は程よい苦味で最高のバランスを保っていたのです。私たちは、「この杉板なら、国産の最高のプランクBBQ用の板ができる!」と確信しました。
衰退している美山杉板を復活させる!
そんな優秀な美山杉ですが、一つ大きな問題がありました。安い外国材の輸入や、国産木材の価格下落によって産業自体が大きく衰退し、今では美山杉の天日干しをしている製材屋は数えるほどになっていたのです。しかも地元の木を切り出すより、市外から板を買った方が安いという現状も手伝って、純粋な美山杉板は非常に希少なものとなっていました。そのあたりが、美山杉板が“幻の杉板”といわれる所以でもあります。
▲林業が廃ると山や川の環境が悪化し、自然災害も引き起こす
このままでは、美山エリアの間伐が進んでも放置されるばかりで活用もされず、山の環境も悪くなって、美しい神崎川の環境も維持できなくなってしまう・・・。そして、地域の製材屋さんはさらに減少し、せっかくの優秀なブランド杉板は次世代へと継承されていかない・・・。これは、これからのサステナブル時代において決して健全な状態とはいえません。
私たちは「最高のプランクBBQの板を作る」という当初の目標に、「美山杉板を復活させ、環境の健全化と地域循環を取り戻す!」という新たな目標を追加し、商品化に向けて試行錯誤の日々をスタートさせました。
ミヤマウッドプランク誕生秘話
美山エリアで、長年杉板の天日干し乾燥を行っている製材屋さんの協力のもと、プランクBBQ用の板に最適な厚み、加工の方法など、何度も試作と検討を繰り返しました。サイズにおいても検討し、あらゆる食材や、ソロキャンパーなどの多様化するニーズにも対応するために2種類のサイズを展開するこだわりっぷり。さらに、あらゆる使用状況も想定して、「浸水用の袋があったほうが嬉しいよね」ということで、パッケージングを兼ねたチャック付き袋も用意しました。
▲焼き加減や香りのつき具合などで厚みを検討する
レシピ開発に関しても、試験者みんなが燻製臭くなるほど、本当にいろんな試験をしました(笑)。「アルミホイルで全面を覆う」「アルミホイルで背面を包まずに覆う」「アルミ皿でかぶせる」など様々な焼きパターンを試したり、プランクBBQに適した食材を探るために、あらゆる食材も試したりしました。普通の料理と同じ調味料を入れたら薄くて美味しくなかったりして、何度もトライ&エラーを繰り返し、ようやくオリジナルのレシピも完成させました。この魂のレシピはSNSでも公開しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
▲様々な食材をチェック!もやしは美味しくなかった(笑)
ミヤマウッドプランクの特徴まとめ
このような製作の背景があって、ようやく完成したのが「ミヤマウッドプランク」です。改めてその特徴をまとめると、以下のような感じです。
① 灰汁が抜けた雑味のない風味
②癖の少ないほのかな苦味の燻製効果
③時間をかけた天日干し乾燥で衛生的
④用途や食材に応じたサイズ展開
⑤レシピが載ってるパッケージ
⑥浸水用の袋が付属してて便利
⑦板はそのままお皿として使用可能
⑧焼印入りで写真に撮った時に映える
⑨食べ終わった後は焚き火で燃やしてエコ
アルミホイルを外すときのワクワク、思わず写真に撮りたくなる映え感、そして何よりジューシーでスモーキーな味わいが最高です!食べた人が発する「美味しい!」の積み重ねが、美山の環境保全と地域循環にも貢献できるのも嬉しいポイントですね。
私たちは、このミヤマウッドプランクを皮切りに、今後も美山の森を生かした薪や、廃材を活用した焚き付け用の薪、スウェーデントーチ、モルックなどの木のおもちゃなど、「環境よし・地域文化よし・使い手よし」の商品を開発していきます。偶然の出会いから生まれた美山への愛を形にし、ユーザーの皆さんの「美味しい」や「楽しい」のパートナーでいれるよう頑張ります。今後の展開にご期待ください!